sophia philein

 

役に立たない 石ころを
大事にする生き方をしたくて
僕はここに立っている

立派なもの抱えた人たちは
明後日とか来月に
役立てることのできる‘知識’を持って
今をぴょんぴょん越えていく
通り過ぎる人たちは
うまく使うということを
誇らしげに、知っている

けれど僕は
役に立たない石ころを
一つだけ抱えて
ずっとここに立っている
ときどき笑顔で
通り過ぎる人たちを見送って
少しだけ情けなくなりながら
石ころを大事にする生き方を
考えている

そうして
僕は僕にしかわからない
美しさを見つけた
そうして僕は僕にだけできる
大切にするというやり方を覚えた

僕は僕しか知らない
一つの石ころについて考えるということを続けた

それで、僕はここにいる
僕はその一つ一つに満足して
通り過ぎる人に
ばいばいと手をふって
大丈夫とかんじながら
ここに立っている

大丈夫だ
僕は知っている
美しさを
大切なものを
生き方を

それで、僕は
僕にしか 役に立たない
石ころを
大事にする生き方をしたくて
ここに 立つ

 

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