オリオン

 

こんいろよりも ずっと
こく くれた 空
けっして くろく ならなくて
ぼくは あんしんして
よるを あるく

きりりと つめたい
ふゆにだけ
ぼくは ‘たくさん’ のなかから
ななつの ほしを
つなぐことができる
ふゆの 空に
かりうどを みつけて
どうだ! とひとり
むねをはる

たくさん のことをきいて
たくさん のことをよんで
たくさん のことをおぼえて
たくさん のことをしっているはずなのに
 ぼくは ふゆの空の ‘たくさん’ のうちの
ひとつきりしか みつけられない

しずかに かがやく
うつくしい ものたちに
なまえや
かたちを
みつけることが
わけなく できた
むかしの ひとは
べんりな はつめいを
てにした
ぼくらより ずっと
すごい

ふゆの よるにだけ
ぼくは 空をみあげて
むねをはる
なにかに とどいた きがして
ぼくは なんども
ほしを つなぐ


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