運よく

 

運よく
死んでしまったり
しないだろうか

そんなこと考えて
渡る道には
車なんて見えなくて
すれ違う人も
みんなにこにこしていて

運よく
死んでしまったり
しないんだろう

天気がよくて
あたたかくて
きれいな
世界をながめた

‘運よく’を
あきらめて
少し遅めの昼食を
形だけ目の前に置いて
ひとりでゆっくり
30分かけて空にした

運よく
死んでしまったりすることを
期待した
平和な世界で
これまた
運よく
まだまだ死なないのだと
空っぽの器をながめた

 

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